「油絵って何かいまいちよく分からない」
「アクリル画や水彩画とどう違う?」
このような疑問をお持ちの方に向けて油絵についてご紹介します。
油絵とは

油絵とは、油絵の具を使用して描かれた絵のことです。油彩画とも呼ばれます。
油絵はファン・アイク兄弟によって15世紀に確立されたとされており、何百年もかけて使用する画材や描き方、絵の題材が変化しつつ現代に至ります。
ルネサンス時代から長らく西洋美術の中心として存在してきました。
油絵の具で描かれる油絵ですが、油絵の具について少し掘り下げます。
油絵の具って?
油絵の具は、顔料(鉱物や土、花などから作られる色がついた粉)を油で練ったものです。
ここでいう油は主に乾性油という油を指し、ばらばらの粉(顔料)をまとめて絵の具として使えるようにする働きを持っています。
ちなみに昔の画家は絵を描くたびに自分で顔料と油を混ぜて絵の具を作るか、工房で弟子たちに作らせていたみたいです。
それが19世紀はじめに金属製絵具チューブが開発され、今のように手軽に外でも絵を描くことができるようになっています。

また、油絵を描くときは、アクリル絵の具を水で溶いて描くように、チューブから出した油絵の具を数種類の媒材(溶き油や乾燥促進剤や樹脂)で溶いて描きます。
さらに溶き油といっても乾性油や揮発油など、乾燥の速さや艶が異なる様々な油があり、絵の進捗度によって溶き油の種類を変えたり調合して調節しながら描いていきます。
そうして描いていくと、支持体(キャンバスやパネルや紙)と油絵の具の結びつきが強固なものになり数百年経過しても形を保持できるような頑丈な画面になるだけでなく、絵の具の盛り上げを可能にしたり、艶のある見た目に仕上げることができます。
油絵の特徴

油絵最大の特徴は、絵の具を不透明にも透明にも描くことができる点です。また、複数の溶き油を使用して描くことによる画面の頑丈さや重厚感なども挙げられるでしょう。
溶き油で調節することで、「グリザイユ画法」や「スフマート技法」といった特殊な描き方が可能になり、ほかにも様々な表現ができます。
一度描いた画面の上に不透明な油絵具で塗りつぶすこともでき、2022年に日本にも来たフェルメールの「窓辺で手紙を読む女」は画面をはがすとキューピッドの絵が出てきたことで話題になりました。
油絵と他の画材の違い
ここからは、身近な画材の「アクリル画」や「水彩画」の特徴を簡単にご紹介します。
アクリル画

アクリル画は技術の発達の賜物であるアクリル絵の具を使用して描くものです。描く際は水で溶いて描き、乾燥すると耐水性になります。
また、アクリル絵の具の一番のメリットはその速乾性です。乾燥が遅い油絵とは違い、すぐに乾くので短い時間で描くことができます。媒材を使用して描けばそんなことありませんが、アクリル絵の具をそのまま使えば画面がビニールのような安っぽい画面になりがちです。
水彩画

水彩画はにじみやかすれなどの表現に向いており、完成した絵は柔らかな味わいになります。こちらも描く際は、水で溶かして描きますが、乾燥した後も水に溶かすとまたにじみを作ることができるという特徴があります。また、乾燥も速いですが、耐光性がなく変色しやすい画材です。
さいごに

以上、油絵について簡単にご紹介しました。
その特徴や他の画材との違いを知ると、より油絵を楽しめるかもしれません。